第5回 就業規則の効果 その2
今回は2つ目の就業規則の効果についてお話しします。
2つ目は「労務リスク管理」です。
企業活動をしていると、それを妨げる要因がいろいろと発生します。
その中で、人事労務面の要因を防止、および解決するためにも就業規則は役立ちます。
今回はいくつか具体例を挙げてその効果をご説明します。
・解雇したい従業員がいる
まず、そもそも解雇は非常にリスクの高い行為です。
何かの理由で従業員を解雇したい場合、そもそも就業規則に解雇に関する取決めがないと難しいことがほとんどです。
どういう場合に解雇になるのか、その手順はどうなるのか等、明記された就業規則があるとリスクを減らすことが出来ます。
・解雇した元従業員に退職金と慰謝料を請求された
そこに至るまでの経緯と、その元従業員の主張によって状況は様々ですが、例えば退職金の話は、解雇そのものが正当な懲戒解雇であったとき、就業規則に懲戒解雇の場合は退職金を支給しない旨の記述が無いと支払義務が発生する場合があります。
また、解雇そのものに対して争いがある場合は、前述通り、どういう場合に解雇になるのか、その手順はどうなるのか等、明記された就業規則がないと負ける可能性が高くなります。
・長期間休職している従業員がいる
中小企業にとって休職中の従業員を抱えるのは大きな負担です。
そもそも休職の制度はその会社に必要なのか、必要であれば期間は適切かを検討し就業規則に定める必要があります。
よくあるケースが、テンプレートや大企業の就業規則をそのまま流用し、必要以上に長い休職期間が設けられているケースです。
さらに、最近は精神的な病気、例えばうつ病などで求職するケースが増えています。
この場合、求職と復帰を繰り返すパターンが多く、就業規則に適切な定めがないといつまでもその従業員を抱え続けなければならなくなります。
・新しく雇った従業員が思うような能力を発揮していない
まず就業規則に試用期間の定めをする必要があります。
労働基準法上は雇入れから14日以内であれば無条件に解雇できますが、そもそもその会社に試用期間の定めんが無いとこの14日間という特例も適用されません。
また、14日を過ぎても正社員よりは解雇のハードルは低いので、やはり就業規則に試用期間の定めは必要になってきます。
試用期間はどのくらいの期間なのか、また、本採用に至らない具体的な事由を明記しましょう。
・勤務態度に問題のある社員がいる
このような社員は他の社員に悪影響を及ぼすため、早急な対応が必要です。
通常は注意から始まって段階的に懲戒処分をし、改善が見られないようであれば最終的に解雇となります。
しかし、これに関しても懲戒の規定が就業規則にないと実行できません。
・朝、突然有給休暇を申し出て休む従業員がいる
有給休暇の取得は労働者の権利で、好きなときに取得できます。
一方で、使用者には時季変更権というものがあり業務に支障が出る場合は取得時期を変更してもらうことが出来ます。
しかし、当日の朝にいきなり言われても時季変更権の行使は難しいですよね。
そういう事態にならないように、就業規則に有給休暇の取得手順を明記しましょう。
そうすることによって従業員はその手順を守る義務が発生します。
・茶髪、ひげを注意してもやめない
髪の色やひげは個人の表現の自由なので基本的には会社が注意することは出来ません。
しかし、企業活動をする上で、対外的なイメージ等、髪の色やひげが支障を来すケースもあります。
そういう場合は就業規則にだめだと言うこと、なぜだめなのかを明記しましょう。
・退職者が賞与の支払いを要求してきた
賞与の支払日前に退職した元従業員が、賞与の算定対象期間には在職していたのだから賞与をくださいと要求してくるケースです。
賞与の支払い対象になる条件を就業規則に明記しましょう。
・パートタイマーの従業員に退職金を請求された
正社員には退職金があるけど、パートタイマーの従業員には無いという会社が多いと思います。
そのような場合、パートタイマー用の就業規則はありますか?
もし、正社員用の就業規則に退職金の支給に関して書かれており、パートタイマー用の就業規則が無いと、パートタイマーにも退職金を支払わなければならないケースがあります。
・従業員が配置転換や残業等、業務命令を拒否する
業務命令に関しては従業員は当然に従わなければならないという考え方もありますが、就業規則に明記した方が確実です。
以上、トラブルの一例をあげました。
他にも労務管理上、様々なトラブルが発生します。
そういったトラブルを未然に防ぎ、不幸にも発生してしまった場合は迅速に解決するためにも就業規則は非常に大切です。







